6/18/2010

翻訳の不思議

翻訳の不思議
日頃翻訳の仕事をする。数多くの日本の翻訳会社に登録されているので、通常国内の仕事で間に合っている。しかし、やはり複数の翻訳サイトにも登録されているから、世界レベルで出されている翻訳の仕事 (job offer) もネット経由で受診し、閲覧する。
それらの翻訳の仕事は一応翻訳の「プロー」が出すのは普通だ。

所が、その内容を見てとても正気と思えないものも沢山見掛ける。面白いから少々のサンプルでも。

ある会社の仕事依頼(探しているのは個人の翻訳者ではなく、翻訳会社)
Volume and pricing: 2 words
at 0.060 EUR per word [ TOTAL: 0.12 EUR ] ⇒それって12円(!!)ほど
Payment method: Bank transfer
この会社は日本国内ではないので、もし仕事をすれば銀行の手数料は(最低)2500円ほどかかる。何のために働くでしょうね。

Sample text: Applicants must translate the following text
(つまり、応募者は以下のテキストを翻訳しなければならない=テストとして。)

The strategy adopted for the fire resistance assessment was based on the calculation of the maximum amount of possibly burning material which can be stored in the compartment having the internal height h=4.50 m ; the goods on show are mainly composed of cellulosic clothes and tissues having a specific calorific value Hu=20.00 MJ/kg (the same parameter for the wood is 17.5) and a combustion factor m=0.80.

このテストは67ワードもある。本来やるべく仕事の30倍!


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別の例では環境に関する論文:
Source materials: Expected to be 20-50 pages.
しかし、「一ページ」ってどれ位の量と書いていない。400字原稿は凡そ訳文の1ページに相当するが、印刷された原稿一枚は4-5ページの訳文になる事も良くある。

Volume and pricing:
20 pages [ TOTAL: 25000.00 JPY ]

単純計算で行けば1ページ当たり1250円になる。もしそれらのページに沢山のテキスト、例えば60ページ分になるほど、が含まれてしまえばページ単価は4-500円になる。幾ら「不況」だとしても日本国内の翻訳会社は日英訳の一ページを約5-6000円でお客先に販売します。
そのような日本国内の「通常価格」のはるか下の値段で仕事できるのは不思議と同時に不審感も抱かざるを得ない。そして - 勿論 - そのような値段でこの仕事を請ける翻訳者がいれば同業者の市場の混乱に陥れて、全ての翻訳者に迷惑が掛かる。

トヨタの高級セダンは仮に300万円をするものとすれば、それを新車として50万円で売るものがいれば、多分トヨタなどから訴えられるでしょう・・・

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